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コラム:シマウマは考える
コラム:シマウマは考える
シマウマは考える Vol.2
アニマルも考える!
サッカーのワールドカップの2010年南アフリカ大会で勝敗予想を的中させて人気者となったドイツのオーバーハウゼン水族館のタコ、「パウル」。彼(彼女?)は、大会中、ドイツの全試合と決勝戦の計8試合の勝敗予想をすべて的中させたと世界的なスターにのし上がった。タコの寿命は3歳前後といわれており、現在2歳半の「パウル」のワールドカップのご宣託はこれが最後。しかし、「パウル2世」はいるかも知れない。タコは、大きな脳と器用な腕を持ち、巣穴の入り口を石でふさぐ、研究者をめがけて水を飛ばす、などの頭脳的行動が知られている。アメリカのメリーランド州の水族館にいるミズダコの「JB」君は、仲間の姿を見分けるという(1)。
「類人猿の目をのぞきこむと、森羅万象が見える。他では見ることができない、自然と生物の荘厳さを見ることができるのだ。そこには類人猿を越えた偉大さがあり、それを理解するには熱心に取り組まねばならないと感じた。」と類人猿の飼育と研究をする米国の研究機関「大型類人猿トラスト」のランブロー博士は言う(2)。この研究所には、母親が言葉の訓練を受けているのをそばでみていて自発的に言葉を覚えて世界的に著名になったボノボ(ピグミーチンパンジーのこと)の「カンジー」やその仲間達がいる。「カンジー」は現在29歳、384の絵文字が配置されたキーボードを使って人間と対話することができ、石の道具を作り、ピアノを弾く。絵文字のキーボードで、「パン」+「チーズ」+「トマト」を選び、それが自分のお好みの「ピザ」であることを知っている。オランウータンの「エイジー」も絵文字を使って自分の考えを伝えられる。野生のオランウータンも木の棒や木の葉を道具として使い、こうした知恵が親から子へ伝わっている。

オランウータンの「チャッピー」。彼女も森羅万象を見ているか? Photo: Pack Rat
動物たちが我々の想像を超えた知力を持っていることが次第に明らかになってきている。人間のポーズをうまくまねるイルカは脳も大きく、認知能力が高いことはよく知られている。顔識別機能付きの最新デジカメにも負けず、ヒツジは50頭の羊仲間の顔を見分け、600日から800日はまだしっかり覚えていることが実験でわかってきた(3)。2002年生まれ、8歳となったボーダーコリーの「ベッツイー」は、340以上の単語を理解し、ボール、紙、箱などの物の名前をいうとそれを持ってくる(4)。
都会の街角のゴミを散らかす、と嫌われているカラスも、道具使いが上手で、問題解決能力が高く、アニマルの中では「誰が一番賢いか?」という雑誌TIMEの最近の脳力比べでは、“たいへん賢い”と大型類人猿、クジラ・イルカなどに続くとみなされている(5)。我が家の物干しから洗濯干しのハンガーを運びさり、食べ物を一時的に隠す行動を見るにつけ、「言葉を話す、道具を使う、仲間をだます」のは人間だけではないようだ。
「進化論」のダーウィンは、ミミズを観察して、どの動物にも知能の芽生えがあるのではと考えたという。実際、こうしたアニマルの行動を知るにつけ、“動物には交尾の相手を見つけ、食べ物を探し、森や海を移動するルートを知る必要がある。こうしたことには、問題解決能力が必要だ”という彼の主張にうなづく。
イスラエルのアニマル・シンキングの開発者たちに“タコの刺身を食べたことあるか?”と間抜けな質問をしたが、アニマル・シンキングでは、タコは既存と同じものをつくりそれにちょっと変化をつけ、多くの選択肢を活かす戦略家の一人として現れる。日本のおじさんはすぐ“これっきゃない!”というが、発想を広げ選択肢は多い方がいいに決まっている。「パウル」に負けないように選択肢を考えないと、刺身にもならない。今度、イスラエルの仲間たちが来たら、タコ刺、タコ焼き、タコ飯とタコづくしに行く。

タコの足というが、英語では腕(arm)という。
見た目で頭部に見えるのは胴部。
「頭足類」の名前の通り、足の集まっているところが脳。
パウル君にも森羅万象が見えているかもしれない。
2010年8月31日
パックラット
(1):National Geographic. Retrieved 2008-10-13
(2):www.greatapetrust.org, Meet Our Apes
(3): http://news.nationalgeographic.co.uk/news/2001/11/1107_TVsheep.html
(4): Wikipedia, Betsy (dog)
(5): TIME, Vol.176, NO.7, 2010.8.16.





