Column
コラム:シマウマは考える
コラム:シマウマは考える
シマウマは考える Vol.8
イノベーション2011@CES
☆ アメリカのラスベガスで1月6日から4日間開かれた世界最大の消費者向け家電の展示会CESを覗く機会がありました。成田空港を夕方飛び立ち、米国西海岸のロスアンゼルスで乗り継ぎ、やっとラスベガスの空港に到着。飛行機を降りると目の前にスロットマシンが並んでいて、これがラスベガスかと感心しました。

スタバにスロットマシンの組み合わせのラスベガス空港のターミナル
☆ アメリカ以外の国からの3万人を合わせ参加者14万人が、東京ビッグサイトの2倍以上あるという展示会場、さらに200人以上入るような会議室が150近くあるという広大なコンベンションセンターに集まって来るのをみて、改めて世界は動いていて、競争が新しいことを考える原動力のひとつかと実感しました。

朝早いモノレールもぬいぐるみの人も並んで長い列でした
☆ 消費者家電の展示会ですが、アメリカのGMや欧州のアウディーなど自動車会社が最新高級車を展示、多くの人が運転席に座っていました。車載用オーディオ・ビデオ機器もあるのですが、電気自動車(EV)は電気のコンセントに繋ぐのだからもう“消費者家電だよ”という言葉が印象に残りました。自動車業界の既存の箱から出て、また新しいアイデアを競い合うのですね。

GMの小型電動2輪車「en-V笑」が会場前広場で動いていました。
電気自動車なのか2輪車なのか、全く新しい箱で考えた方が良さそうです。
☆ CESでは、優れたアイデアやデザインの製品に与えられる「デザイン&エンジニアリングのイノベーション賞」が1976年から続いており、画期的製品を競っています。最近はその製品カテゴリーに“エコデザイン&サステイナブルテクノロジー”や、健康医療領域へのIT利用の“ヘルス&ウェルネス”なども追加され、カテゴリーは35まで増えたそうです。会場には、賞をもらった製品がガラスケースに入って展示され、多くの人が覗いていました。

☆ CESでは、展示会と同時に最新動向のテーマのカンファレンスも開催されます。私が参加したヘルスサミットの会合では、スマートフォンやワイヤレス技術をヘルスや医療の分野に使う市場動向や多くの事例が紹介されました。たとえば、アメリカでは、テキストメッセージと言っていましたが、直接携帯電話に情報を流すサービス。text4babyという妊婦の人達への教育や生まれてくる赤ちゃんのケアなどの相談サービスが好評だそうです。情報を伝える機器として携帯電話に新たな用途が生まれているようです。こうして生まれてくる赤ちゃんは、生まれたときからまさにデジタル族ですね。デジタル機器やインターネットが当たり前の世代の人を、デジタル・ネイティブと呼ぶのだと聞きました。


“Oh My God、生まれちゃった”とでも訳すのでしょうか。
☆ これは会場で配られる冊子に載っていたとっても気に入った宣伝です。「何を使っていようと、繋がるようにお手伝いします」というセールスコピーです。リンゴはアップル、ブドウは(アメリカではたくさん使われている)ブラックベリー、そしてロボットはグーグルのアンドロイドですね。全部携帯電話やスマートフォンの会社や機種の名前を表しているのでしょうが、こうやってみるととても遊び心も感じられ、なにか違う発想が広がる気がしました。

☆ 一緒に行った人と計算をしてみました。世界中からこの展示会に14万人がきて、一人平均5泊して宿泊・食事・交通費で1日100ドル使うと、合計で14万x500ドル=7千万ドル、1ドル85円でも約60億円が使われたことになります。これ以外にきっとギャンブルやショッピングなどでお金を使っているでしょう。
CESは向こう10年先まで日程が決まっているそうで、毎年世界からお金を集める仕組みを作り上げてあるねと二人で感心しました。自分たちも「こういう発想ができたらすごいね」となりました。

ホテルの入り口からカジノでした
☆ イノベーションというのはなにも新しい物が現れる立ち上がりの時期だけではないよと教わりました。「立ち上がり時期のイノベーションは、既存の考えを壊し秩序を変えるので“破壊的イノベーション”と言え、技術者が主体でテクノロジーが鍵となる。次に市場が立ち上がったあとの成熟期には、製品やサービスで革新的なことが起き、これは技術者ではなくマーケティングの人達が主導する“持続的で途切れないイノベーション”だ。最後は物事が衰退していく時期のイノベーションで、ビジネスモデルを変えてしまうことで“構造改革イノベーション”と呼べ、経済的理由なのでファイナンスの人達の役割だ」というのです。

CESの会場の入り口にあったコーニング社の液晶用の強固なガラスの宣伝が目にとまりました。
「頑丈だけれど美しい」ガラスだそうです。
☆ イノベーションのスイッチをONにしようと、アニマル・カードを眺めながら帰国しました。

2011年1月31日
永井 寿子





